はじめてのギター弦交換 〜アコースティックギター編

自分で出来る!初めての弦交換!! 〜アコースティックギター(スティール弦)編〜
初めてのギター、アコギを手に入れてから、毎日少しずつ弾いてきたけどそろそろ弦を交換した方が良いのかな? そんな悩みを持つアナタ! 張り替えどきは今ですよ! 弦交換は意外と簡単に自分で出来ます。今回はアコースティックギター(スティール弦)の弦交換について説明します。
(執筆&動画編集:井戸沼尚也 編集&動画撮影・編集:赤坂太一)
弦の張り替え時っていつなの?

これは人それぞれ。決まった答えはありません。
毎日ギターを弾く人と時々しか弾かない人、新品の弦の音が好きな人と少し古い弦の音が好きな人、また手汗を多くかく人とあまりかかない人など、練習量や音の好み、また体質によっても張り替え時は異なります。
ですが、一つの目安として”毎日少しでもギターに触る”という人なら、1ヶ月に1回は弦を張り替えるようにして、それを基準に自分の張り替えどきを探していくと良いでしょう。最低でもギターを購入して3ヶ月以上経っているようなら、すぐに張り替えに挑戦してみてください。
いつまでも古い弦を張っていると、なんとなく弾き心地がよくない、音に張りがなくなるほか、弦に汚れやサビが付着してチューニングが合いにくくなる、コード(和音)が綺麗に響かないといった問題も起こります。
初心者こそ、新しい弦の綺麗な響きで、良い耳を養っていただきたいと思います。
弦を張り替える前に準備しよう!
弦を交換する前に、次のものを用意しましょう!

- 新品のセット弦(1弦から6弦までセットになっているもの)
- チューニングメーター(クリップタイプが手軽でお勧め!)
- ストリングカッター(先が尖った専用のものを!)
- ブリッジピン抜き(ブリッジピンを使わないタイプのギターには不要です)
- クロス(2枚以上あると便利です)
- ネックピロー(あると便利ですし、長く使えます)
他に、ストリングワインダーや外した弦を入れる容器(レジ袋などでも構いません)などを用意しておくと、より弦交換がスムーズに出来ます。
おすすめ!弦切り用ニッパー


古い弦を外してみよう! 〜まず弦を緩める〜
まず古い弦を外します。弦を外すには、先に弦を緩めておく必要があります。
この時、全く初めての弦交換でペグをどちらに回して良いかわからず、反対方向に回して弦を張っていってしまうケースがあるようです。そのまま気付かずに弦が切れてしまい跳ねた弦でケガをする可能性もあります。
これを防ぐには、外したい弦の音を鳴らし(開放弦をポーンと鳴らします)、音程が低くなる方向にペグを回してください。この辺りは、ぜひ動画で確認していただきたいところです。
弦を鳴らしてペグを回しても、音程が低くなっているのかどうか自信がないという方は、クリップチューナーを付けて視覚的に確認するのも良いでしょう。
一本ずつ弦を緩めていき、音程が聞き取れないくらいまで緩めれば全く張りのないダルンとした感触になります。

古い弦を外してみよう! 〜ブリッジピンを抜く〜
全ての弦を緩め終えたら、次にブリッジ側で弦を固定しているブリッジピンを抜きます。ピンの抜き方にも色々な方法がありますが、ここでは”ピン抜き”を使った方法を説明します。
アコースティックギターのブリッジピンは、穴にピンが刺さっているだけの簡単な構造ですが、意外なほど硬く締まっていて、ピンを指で引っ張っただけでは全く抜けない場合があります。そんな時に、ピン抜きを使います。
- まずブリッジのピンの後ろにクロスを敷く(ブリッジに傷を付けないため)
- ピンの頭のところに、ピン抜きを差し込む
- “てこ”の要領でピン抜きの持ち手部分を押し込み「ゆっくり、少しずつ力を加えて、持ち上げていく」
このようにするとピンが抜けます。ピンを抜いたら、ブリッジの穴からボールエンドがついた弦を外します。これを弦6本分繰り返してください。
この時の注意点は「外したブリッジピンは外した順番に並べて置いておくこと」です。
6弦のブリッジピンには6弦の、5弦のブリッジピンには5弦のクセが付いていますので、これらを混同しないように、新しい弦を張ってブリッジピンを止めるまで綺麗に並べて一時保管しておいてください。



新しい弦を張ろう! 〜ブリッジ側で弦を固定する〜
では、いよいよ新しい弦を張っていきます。
まずはパッケージから弦を出し、巻きグセをとって出来るだけ真っ直ぐにしてください。
どの弦から張っていっても良いのですが、張り間違いを防ぐために(2弦のところに1弦を張ってしまったとか、細いので意外とよくあります)、最も太い6弦から張っていきましょう。
パッケージから出すと、どれが6弦かわからなくなることがありますが、一番太い弦が6弦です。必ず触って太さを確かめてから張るクセを付けておきましょう。
次に、6弦のボールエンドから大体1cmくらいのところ(下の写真参照)を軽く曲げてから、ボールエンドをブリッジの穴に差し込みます。それから「ブリッジピンの溝に弦がはまる向き」に合わせて、ピンを差し込みます(下の写真参照)。片手でピンを押さえたまま、もう片方の手で弦を軽く引っ張って、きちんと固定されていることを確かめます。
この辺りは、文章だけではわかりにくいかもしれません。ぜひ動画を参照してください。



新しい弦を張ろう! 〜ペグに弦を巻きつける〜
ブリッジで固定された弦をヘッド側に引っ張ってきて、ペグ(糸巻き)に巻き付けます。
巻き方にも色々な方法があるのですが、ここでは1番シンプルで初心者が馴染みやすいと思われる方法をご紹介します。
弦をペグに巻きつける前に、まず全てのペグのポスト(柱)に開いた穴をブリッジ方向に向けておくと、この後の作業が行いやすくなるのでお勧めです。
それでは6弦からはじめます。弦をペグポストの穴に通しそのまま引っ張ってください。
次に、ペグ1個先を目印にして(この場合は5弦のペグポスト)、目印の位置を6弦の穴のところまで戻します。少し弦がゆるんだ状態になりますね。
これは何をしているのかというと、「ペグに巻く弦の量を決めている」のです。ペグ1個分の弦の長さを余らせて巻くということです。わかりますでしょうか? ぜひ動画も確認してくださいね。
6弦ポストからブリッジまでの弦は、少したわんで、ゆとりのある状態になっていることを確認してください。そうしたら、ペグを回して弦を巻きつけていきます。
6弦のペグは、作業者側から見て「反時計回り」に回していくと、弦を張る方向に巻き付けていくことができます。ほんの少し回したら、そこで軽く折り目をつけてください。折り目の部分がペグポストの穴からずれないように指で押さえながら、ペグを回していきます。
巻いている弦と、余ってブラブラしている弦が交差する時に、1回目は「巻いている弦が上になる」ように巻いていきます(下の写真参照)。


巻いている弦で、余った弦を上下からロックするような形ですね。
そのまま、ある程度のテンションが弦にかかるまでペグを巻いていきます(チューニングはまだしなくてよいので、弦は少し緩い状態にしておいてください)。
ここまで出来たら、余って飛び出ている弦の部分は出来るだけ根元からカットしておきます。

これを6本分、繰り返します。
注意点は、以下の2つ。
① 巻きつける量は、6弦と5弦はペグ1個先が目印。4弦と3弦はペグ1.5個分先が目印。2弦と1弦はペグ2個先が目印(ただし、これはあくまでも目安なので、何度か弦交換をして、自分の好みを見つけてください。ギターの特徴による違いもあります)。
② 6弦〜4弦までと、3弦から1弦までは、ペグの動かし方が反対になるので注意(3弦から1弦は作業者から見て「時計回り」で巻いていく方向になる)。
※ただしヘッドの形状によって、回す方向が変わる場合もあります。心配な場合は、開放弦の音を鳴らしながら、音が高くなっていく方向に回してください(クリップチューナーを付けて、視覚的にも確認すると良いでしょう)。
チューニングをして、ギターを弾こう
6本の弦を全て張ることができましたか?
ここまで出来たらチューナーを使ってチューニングをしていきます。
一度チューニングをしても、それで終わりではありません。新品の弦は安定していませんので、チューニング後に12フレットのあたりを軽くつまんで引っ張ってやり、弦を伸ばして再度チューニングします。これを1セットにして何度か繰り返してください。おそらく4、5回繰り返すとチューニングが落ち着いてくるはずです。

落ち着いたら、好きなコードを押さえてジャランと鳴らしてみましょう。きっと、これまでとは違うキラキラとした美しい響きに、驚かれると思います。これが新しい弦の音です。
文字にすると難しい弦交換ですが、2〜3回経験すると慣れてくると思います。
より長く、より楽しくギター・ライフを送るために、ぜひ弦交換にチャレンジしてみてくださいね!
動画をチェック!
あらためて、最初から動画にもしてみましたので記事とあわせてご覧ください。