KarDiaN×チューヤ 20周年記念コラボが実現! オペアンプ期マフ・リスペクトの限定ファズ、爆誕!!
このほど20周年を迎えたchuya-online.com(チューヤオンライン)と、滋賀発のエフェクターブランドKarDiaN(カージアン)の限定コラボ・ペダルが発売される。
注目のモデル「C6H8O6 “VITAMIN C”チューヤモデル(VITAMIN C Pumpkin Orange Ver.)」は、ビンテージのビッグマフ、しかもオペアンプ期のモデルというニッチかつマニアックなところをリスペクトしつつ、回路的にはKarDiaNの人気モデル“VITAMIN C”を元にしたオリジナルのファズに仕上がっている。今回そのサウンドを確かめるべく、機材系レビュワーとしてお馴染みの井戸沼尚也がKarDiaNの工房に潜入した!
Pumpkin Orange Ver.を追い求め、滋賀のKarDiaN工房へ
こんにちは、井戸沼尚也です。今回は、滋賀にあるKarDiaNさんの工房にお邪魔しています。
いやー、もう圧巻ですよ……。工房の一角には古今東西のエフェクターの名器が山のように集められ、それらをプレキシ・マーシャルをはじめとする名アンプでサウンドチェックしながら、KarDiaN製品が作られているんです。
今回の「C6H8O6 “VITAMIN C”チューヤモデル(Vitamin C Pumpkin Orange Ver.)」(以下、Pumpkin Orange Ver.)は、制作にあたってオリジナルのエレクトロハーモニックス・ビッグマフ、それもオペアンプ期のモデルを2台用意し(オペアンプ期の中でも前期と後期の2種類)、それらと比較・チューニングしながら作られたものです。
なぜオペアンプ期のマフなのか?
「Pumpkin Orange Ver.」は、なぜオペアンプ期マフをサウンドのリファレンスに選んだのでしょうか?
ご存じの通り、マフには生産時期や仕様による違いから、トライアングル、ラムズヘッド、シヴィルウォーなど多くの名器があり、オペアンプ期のモデルはどちらかといえばマフの中ではニッチなモデルといえます。
とはいえ侮れないモデルでして、ややハイ寄りでディストーション風味の強いサウンドが、他のマフでは得難い味になっています。何よりオルタナ/グランジの金字塔であるスマッシング・パンプキンズの名盤『Siamese Dream』で使われていると噂され、「オペアンプ期マフでなければ」という熱心なファンがいるのも事実。しかし、この時期のマフも年々入手が難しくなっているのが現状です。
また、KarDiaNではすでにディスコン(生産完了)ですが、“VITAMIN C”のアーミーグリーン・バージョンがあり、それを知っていたチューヤオンラインのマニアックな開発担当者からKarDiaNに、「オペアンプ期のサウンドは再現できるのでしょうか?」という問い合わせがあったことが「Pumpkin Orange Ver.」の開発につながっています。
オリジナルの“VITAMIN C”と「Pumpkin Orange Ver.」の違いを製作者本人に直撃!
オペアンプ期マフと比較しながら制作された「Pumpkin Orange Ver.」ですが、これはクローンモデルではありません。
サウンドのニュアンスはかなり近いものの、その守備範囲や使い勝手が大幅に改善されており、パーツとしてはオペアンプも使用されていません。回路やパーツ構成的にはKarDiaNオリジナルの“VITAMIN C”が母体となっています。
ではここで、せっかく工房にお邪魔していることですし、KarDiaNのビルダーでありブランドの主宰者でもある北田駿一(きただ としかず)氏にオリジナルの“VITAMIN C”と「Pumpkin Orange Ver.」の違いについて伺ってみましょう。
北田氏「まず“VITAMIN C”は、ラムズヘッド期のビッグマフにインスパイアされつつ、現代の環境でも使いやすいようマフを再定義したオリジナルのファズです。
トランジスタとFETからなる5つの素子を揃え、ソリッドな音と扱いやすい2つのEQを持っている点が特徴で、サウンドの核となるコンデンサにはMallory150を採用しています。
高域も低域も伸びるハイファイなテイストのコンデンサを選択することで、“VITAMIN C”らしさを打ち出しているのです」
北田氏「それに対して『Pumpkin Orange Ver.』は、“VITAMIN C”の回路や定数を見直してオペアンプ期マフの方向にサウンドを調整しつつ、コンデンサにはトロピカルフィッシュと呼ばれるタイプのものを搭載して全体のバランスを整えています。
『Pumpkin Orange Ver.』にMallory150を搭載するとハイがきつくなってしまうので、トロピカルフィッシュで少し落ち着かせている感じですね。これによって『Pumpkin Orange Ver. 』は、“VITAMIN C”より重心は高めですが、キャンキャンしないサウンドになっています。
また、『Pumpkin Orange Ver.』はオペアンプ期らしいジューシーな歪みを狙って、クリッピングダイオードもLEDからシリコンに変更しています。さらにBASSやFUZZコントロールの効き方も“VITAMIN C”とは違いますので、ローカットした使い方や、よりローゲインなファズ・サウンドも楽しめます」
うーむ、これは実際の音が気になりますね!
では、早速動画でサウンドをチェックしてみましょう!
初公開! Pumpkin Orange Ver.のサウンドをチェック!
動画は、オープニングのサウンドがストラトキャスターと「Pumpkin Orange Ver.」、エンディングのサウンドがレスポールと「Pumpkin Orange Ver.」の組み合わせとなっています。
また途中ではベースと「Pumpkin Orange Ver.」の相性もチェックしていますので、ぜひ最後までご覧ください!
いかがでしたか?
音の密度が大きいオリジナルのオペアンプ期マフ、重心が低くドスが効いたオリジナルの“VITAMIN C”に比べると、「Pumpkin Orange Ver.」は両者のDNAを受け継ぎつつ、違う個性を持つファズだということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
個人的には、「Pumpkin Orange Ver.」は高域の伸びの良さ、ピッキングのアタック感の心地よさ、コントロールできる部分(歪みの量や低域の出方など)の幅広さなどが特徴で、まさにオペアンプ期マフと“VITAMIN C”のハイブリッドだと感じました。
シングルコイルと組み合わせて少しジャリっとしたサウンドを作っても(動画のオープニング)、ハムバッカーと組み合わせて歌うようなリード・トーンを作っても(動画のエンディング)、どちらもイケる守備範囲の広いファズです。またベースとのマッチングも最高なので、ぜひベーシストにも手にしてほしい一台だと感じました。
「Pumpkin Orange Ver.」は、2022年8月にチューヤオンラインのサイトで販売開始予定です。
限定品ですので事前にチューヤのHPやSNSをチェックして、販売開始時間などをチェックしておくのが良いでしょう。
興味のある方は、早めの決断をお勧めします!!
KarDian公式サイト
https://kardian.net/