いまさら聞けないPA レコーディング入門 マイク編 そろそろマイクを買おうぜ!? ダイナミック?コンデンサー?

PA レコーディング入門 マイク編

ボーカリストの必需品マイクロフォン。昨今は宅録環境も一般的になっており宅録での楽器録音だけでなく配信での使用や、リモート会議での使用など様々な用途でマイクが必要なシーンが増えてきています。

今回はPA レコーディング入門マイク編として用途別のマイク選択のコツやスペックチャートの見方などをご説明いたします。

前回の記事、「いまさら聞けないPA レコーディング入門 ミキサー編 そもそもPAって何? 宅録から小規模イベントまで」 はこちら

いまさら聞けないダイナミックマイクとコンデンサーマイクの違い

マイク選びで最初のポイント。

ダイナミックマイクコンデンサーマイク、どっちにする問題。

ほんとはリボンマイクというカテゴリーもあるのですが今回はスペースの関係で割愛します。リボンマイクもとてもいいマイクではあるんですが…

まずは退屈だとは思いますが、そもそも何が違うの?から始めたいのですが、いいでしょうか?

大事なことなのでもう一回言っときますが、退屈ですよ。めんどくさい方はちょっと上の↑目次に戻って次の見出しに進んでください。誰も止めません。

ダイナミックマイクの仕組みと特長

まずダイナミックマイクです。SHURE SM58SM57AKG D5 、SENNHEISER MD421-II などなどライブステージでは定番のマイクたちが代表的なダイナミックマイクです。

構造を見てみましょう。

ダイナミックマイクの構造の解説図
ダイナミックマイクの構造

これがダイナミックマイクの構造です。ざっくり言うと、

ダイアフラム(振動版)が空気振動によって上下することで、繋がっているコイルも上下します。

コイルの中心に磁石が入っているので、フレミングの法則により、電流が発生します。この電流を音声信号に変えて出力するのがダイナミックマイクです。

こんな構造どこかでみた事あるような?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実はスピーカーと構造は全く同じなんですね。つなぎ方を変えればスピーカーをマイクにしたり、なんてこともできるんです。

代表的なダイナミックマイクの画像 左からSHURE SM58 SHURE SM57 AKG D5
代表的なダイナミックマイク 左からSHURE SM58、SM57、AKG D5

ダイナミックマイクの特徴は構造が比較的単純なので衝撃に強い、つまり耐久性が高いです。

芯のある詰まった音、ガッツのある音、迫力のある音を得意とします。
コンデンサーマイクよりもハウリングしにくい物が多いですが、繊細な音を捉えるのは苦手な傾向にあります。
理由としては、ダイアフラムがコイルに繋がっているので、振動する部分が重くなります。特に、高い周波数の音はエネルギーが弱く、重いダイアフラムを振動させにくいので、高域の感度がコンデンサーに劣る物が多い傾向があります。

もちろんこれはあくまでも傾向として捉えていただければと思います。

コンデンサーマイクの仕組みと特長

次はコンデンサーマイク。アーティストのレコーディング現場などで良く見かけるやや大型の設置型マイクや、楽器用などで良く見かける細長い筒状のペンシル型マイクなど形状も様々です。

NEUMANN U87、AKG C451C214AUDIO-TECHNICA AT4050などが有名でしょうか(あくまでごく一部)。

早速構造へ。

コンデンサーマイクの構造の解説図
コンデンサーマイクの構造

ダイアフラム(振動版)が空気振動によって上下することで、バックプレートとの距離が変動します。

ダイアフラムは(+)に、バックプレートは(-)に帯電しており、距離が変わることで電位差が発生し、電流が生まれます。この電流を音声信号に変えて出力するのがコンデンサーマイクです。

?よくわかんない、と思ってる方、ご安心ください。

僕も本当はよくわかんないです(笑)

空気振動を直接電流に変えるのがダイナミックマイク、プレートに電圧をかけて振動で起きる電位差を使った電流を作り出すのがコンデンサーマイク

要は構造が違うんだよって事だけ頭に入れておきましょう。

代表的なコンデンサーマイクの画像 左からAKG C214 AUDIO-TECHNICA AT2020 AKG P170
代表的なコンデンサーマイク 左からAKG C214、AUDIO-TECHNICA AT2020、AKG P170

コンデンサーマイクの特徴は、まず高い収音能力です。

またまた脱線。収音?集音?どちらも間違ってませんがPA業界的にはほぼ収音に統一してるようです。

失礼しました。

ダイアフラムは数ミクロンの厚みしかなく、ダイナミックマイクの様にコイルに繋がっていないので
非常に軽いです。その為、微弱な音でもダイアフラムが振動します。

微弱な音でも振動するという事は、演奏や歌の細かいニュアンスも繊細に捉えられるということです。

さらに、ダイアフラムが軽いという事は、アタックの鋭い音(シンバルやアコギ等)でも、瞬発力高く、正確に捉えられるという事でもあります。

その反面、繊細なダイアフラムは湿気や衝撃に非常に弱いため、扱いと管理には注意が必要です。
また、ダイアフラムを帯電させるために、ファンタム電源でマイクに電気を送ってやることが必要です。

結局どっちを選べばいいの?ダイナミックマイクとコンデンサーマイク

退屈に耐えて前段から読んでいただいた方、ありがとうございます。

さっさと飛ばしてこの段から読み始めてる方、お久しぶりです。

さて、構造は分かった(もしくは興味ない)。結局どっちがいいの?どっちが偉いの?

答えは

勘のいい方ならお気づきでしょう。

そう、どっちとも言えないのです(笑)

ありきたりですいません。だってこれ楽器屋の記事なんですよ…

冗談はさておき、前段でも触れたようにそれぞれに特徴やストロングポイントがあるので、当たり前ですが、状況によっての使い分けが必要になります。

例えばライブユースであれば、ハードに使う場合もあるでしょうし、たまにはステージで落とすこともあるでしょう(ないようにしてくださいね、ダイナミックマイクでも壊れる時は壊れます)。

耐久性が高く、ガッツのある音を出せるダイナミックマイクが向いている場合が多いでしょう。

レコーディングでも手で持って歌いたい、こんな場合もダイナミックマイクの方が汎用性は高いでしょう。ハンドリングの振動によるノイズは、特にシビアなレコーディング環境下では思った以上に大きいものです。コンデンサーマイクの収音能力の高さはケースによっては諸刃の剣となります。

レコーディングユース、主にボーカルとアコースティックギター。こんなシチュエーションであればギターのピッキングニュアンスやシンガーの息遣いまで繊細に収音してくれるコンデンサーマイクがいいでしょう。

保管も使わないときはケースに入れて、極端に室内の温度が高くなるようなことがないようにしましょう。

コンデンサーマイクの場合、ファンタム電源の供給が必要ですが、昨今のミキサーやオーディオインターフェイスには、ほとんどの機種がファンタム電源供給の機能があります。気になる方はお手元の機材をチェック。+48Vと書かれたスイッチがついてれば、それです。

マイクの指向性を確認しよう

マイクロフォンには特定の方向から来る音だけをよく収音できるように設計されているものが一般的です。

こうした性質が指向特性と呼び、音が到来する方向に対する感度の変化を示したグラフがあります。

マイクの指向性パターンチャートの画像
マイクの指向性パターンを表すチャート

こんな感じの円グラフ風のチャート、マイクのカタログなんかで見られたことがある方も多いと思います。

これが指向特性(カーディオイドパターン)を示すチャートで、音が到来する方向(このチャートの場合は下方向から音が来ます)に対する感度の変化を指します。マイクロホンの最も感度が高い方向(収音軸)を基準(0゜、0dB)として、周囲360゜を円形のグラフに表します。

なんかまた退屈になって来ちゃいましたね。。

もうちょっと簡単な画でサクサクいきましょう。

単一指向性について

単一指向性マイクの指向性解説図
単一指向性のパターンチャート(簡略化)

一気に簡単になりました。

これが代表的な指向特性、単一指向性のパターン図(簡略版)です。主にマイク正面(この場合は上方向)の音を集音していることがわかると思います。

メーカーによっては、単一指向性の中でもカーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイドという指向性の強さよって3段階に分けらたラインナップを用意している場合があります。

例えばハイパーカーディオイドであれば正面への指向性を非常に強くしているため、ちょっと角度がずれると急激に収音効率が落ちることがわかりますね。ボーカリストでハイパーカーディオイドタイプのマイクを使う場合はマイクに対して常に正面から正しく歌うことにも気を使う必要があります。

双指向性について

双指向性マイクの指向性解説図
双指向性のパターンチャート(簡略化)

180度の両方向に対して収音する双指向性のパターン。

向かい合って対面でのトーク、インタビューなどで活躍します。

無指向性について

無指向性マイクの指向性解説図
無指向性のパターンチャート(簡略化)

360度全ての方向からの収音を可能にする無指向性のパターン。

多人数でのトーク、コーラスの一発録り、1マイクでのバンド録音などにも使えます。

楽器やボーカル用のマイクは先述した通り、単一指向特性のものが一般的ですが、様々な用途に使えるように、指向性の切り替えができるマイクもあります。

AKG マイクロフォン C414 XLSの画像
AKG C414 XLS 指向性を切り替えるスッチが中央にあります

例えばこの AKG C414 XLS

なんと9段階に指向性の切り替えが可能です。

シチュエーションフリーに使えるマイクと言えます。

他にもここでは省略しますが、極端に指向性を狭めた(強めた)ウルトラカーディオイドと呼ばれる指向性もあります。

よくテレビのロケや映画の撮影シーンなんかで少し離れた位置から長〜い棒状の物を演者さんに向けてる風景ありますよね?通称「ショットガンマイク」と呼ばれるマイクです。カメラに映りこまずにピンポイントに音源を狙うマイクです。あれが代表的なウルトラカーディオイドマイクです。

しかし、よく考えたらピンポイントに狙うんならショットガンじゃなくてライフルとかの方がネーミング的にあってる気がしますよね…. まあいいか。

マイクの周波数特性(F特)とは?

マイクの性能を表す数値に周波数特性と呼ばれる数値があります。

フラット特性、F特性などと呼ばれることもありますが、同じ意味です。

マイクの周波数特性チャートの画像
マイクの周波数特性(フラット特性)チャートグラフ

こんなチャートです。

そのマイクが何Hzから何Hzまで収音が可能かを示す数値。高い音を大きく集音する物や、低い音を大きく集音する物があり、それを分かり易くする為、図の様にグラフ化されています。

代表的な楽器の週hが数帯域を表したチャート図の画像
代表的な楽器の周波数帯

こちらは様々な楽器が出す主な音程を周波数帯で表したチャートです。楽器によって主要な周波数帯域も幅広いことがわかりますね。

一般的に人間の可聴周波数(音として認識できる周波数)は20Hz~20kHzと言われています。

ちなみに耳に聞こえないほど高い周波数がいわゆる超音波です。

その中でもメロディーを構成する音程として存在する周波数は4kHzくらいまで(ピアノのC6=4186Hzです)なのですが、ほとんどの楽器は4kHzより上の周波数を出しており、ここが演奏の輪郭や空気感、演奏のニュアンス等を感じる非常に重要な帯域になります。

例として、弦楽器であれば、「倍音」「擦弦音」「ピッキングノイズ」「スクラッチノイズ」等がこの帯域にあたります。これらが聞こえないと、なんとも味気ない音になってしまうのは想像に難くないでしょう。

マイクに求められる周波数特性もまさにこの部分になります。

いいマイクを使うことで表現力が豊かになるように感じるのは錯覚ではないのです。

シチュエーションで選ぶマイクロフォン 【ライブ/ボーカル編】

マイク選びのポイントと重要性をお伝えしたところでシーン別に代表的機種、また独断ですが個人的おすすめマイクを紹介していきましょう。

まずはライブユースのボーカル編。

もちろんリハーサルスタジオにも持っていきましょう!練習からマイマイクで。一回始めたら戻れません(笑)

SHURE マイクロフォン SM58-LCEの画像
SHURE SM58-LCE

SHURE SM58-LCE

さすがに「ゴッパ」は外せません..

どこのライブハウスにもスタジオにもあるのに自分で買う意味あるの?って思われそうですが、あえてマイマイクで。コンディションいいゴッパはほんといい音なので。

癖のない音質と扱いやすい指向性でどんなジャンルでも使えます。

AKG マイクロフォン D5の画像
AKG D5

AKG D5

実勢価格7000円台(2021年5月時点)と比較的お手頃な価格帯ですが侮れません。

非常にパワフルで明瞭なサウンドが特徴で、やや太めの重厚感あるグリップも魅力。

ハンドリングノイズの少ないライブ向きの仕様でありながら4kHz以降5kHzあたりにややピークを持たせた特性はEQ処理せずにそのまま使える音になりやすいです。

余談ですが、以前運営していたchuya-onlineのリハーサルスタジオにもスタジオ備品としてAKG D5を採用していました。その際作っていた試奏動画があったので参考までに。

AKG D5マイクロフォンを使った試奏動画 【chuya-online FUKUOKA AKG紹介動画】AKG D5ダイナミックマイク
DPA マイクロフォン 2028-B-B01の画像
DPA 2028-B-B01

DPA 2028-B-B01

プロクオリティーを目指すならコレ!

近年プロミュージシャンの支持を急速に集めているDPA。その信頼性は以前、「さあ火星の音を聞こう! NASAの火星探査機 MARS2020が火星へタッチダウン DPAマイクロフォンが捉えた火星の音」の記事でも紹介しましたね。プロミュージシャンからNASAまで幅広く御用達のハイエンドマイクです。

とにかくナチュラル、そして透明感のあるDPAサウンドはもちろん、コンデンサーマイクでありながら、ハンドリングノイズを大きく低減するショックマウント機構を内蔵し、ライブユースに耐えうる仕様を実現しました。ハウリングに強く、軸外サウンドも自然な音質で収音する指向性能も素晴らしいです。

AUDIX マイクロフォン OM6の画像
AUDIX OM6

AUDIX OM6

これはどうしても外せません。なぜなら長いこと自分で使ってたからです(笑)

ダイナミックマイクなんですが、質感がちょっとコンデンサーマイク寄りというか、とにかくレンジが広い、しかもハイ上がりではなく、しっとりとしたリッチなミドルレンジ、息遣いまで伝えるような繊細な反応性能、どれも素晴らしいです。

最大音圧レベル140dbを達成した耐プレッシャー性能、低ハンドリングノイズ性能。

バンドユースとして長年使っていましたが、考えると昨今のパーソナルレコーディング、配信用途まで幅広く使えるバーサタイルなマイクになっていると思います。

ボーカリスト、とりあえず1本、予算3万以内、と言われたら個人的にはこれをすすめちゃいます。他のブランドの皆様すいません、他意はないのでご容赦を。

シチュエーションで選ぶマイクロフォン 【ライブ/楽器編】

続いてライブユースの楽器編。

楽器の場合、特にドラムなんかは本数も必要になってきます。コストパフォーマンも加味しながら選んでいきましょう。

SHURE マイクロフォン SM57-LCEの画像
SHURE SM57-LCE

SHURE SM57-LCE

販売総数はおそらくゴッパを凌ぐ、まさに世界で一番売れてるマイク「ゴーナナ」。

とにかく応用範囲が広いです。ドラムセット周りからパーカッション、管楽器もカバーします。

が、何と言ってもギターアンプ、特にMarshallアンプには相性抜群。大型スタックアンプの音圧にも耐えられ、近接効果と呼ばれる音源に近づくほどに低域が強調される独特の挙動が特にロックミュージックのライブ/レコーディングにおいて重宝されています。

もし、マイクを2本買うなら、1本は是非(むしろ絶対に笑)SM57-LCEゴーナナ)にしておいてください。何にでも使えます。経験則上ですが、ボーカルに使うのも意外といいです。

AKG マイクロフォンセット DRUM SET SESSION Iの画像
AKG DRUM SET SESSION I

AKG DRUM SET SESSION I

ドラムのライブPA、レコーディングにはたくさんのマイクが必要です。キック、スネア、タム、シンバル..ざっと数えても7、8本。個人ユースで買い揃えるのはコスト的にもなかなか大変ですね。

そんな時に助かるのがこのAKG DRUM SET SESSIONセット。キック用*1、タム用*4、スティックタイプのコンデンサーマイク*2の、合計7本のマイクと、それぞれのクランプ、ハードケースが一つのパッケージなっています。

このスティックタイプのコンデンサーマイク、現在はP17というセット品専用の型番ですが、実際には単品販売されているAKG P170とまったく同じ仕様のものです。ドラム録りの際はシンバルやハイハット、オーバーヘッドで全体の録りなどに使えますが、個別のレコーディング時にはアコースティックギターなど様々な楽器にも転用できます。コスパいいですよね。

DPA マイクロフォン 4099-DC-1-199-Gをギターに装着した状態のイメージ画像
DPA 4099-DC-1-199-G ギターに装着したイメージ画像

DPA 4099-DC-1-199-G

エレアコのピックアップサウンドではなく、アコースティックギター本来のナチュラルなサウンドを求めたい。そんなギタリストはこちら。

専用のクランプでボディーに取り付けることができ、ステージ上でもギターとマイクのポジションに気をとられることがありません。サウンドは流石のDPAクオリティー。ライン出力とMIXしてサウンドメイクする方も増えています。

DPA 4099シリーズはギター用、コントラバス用打楽器用、管楽器用、ピアノ用など様々な楽器に対応したシリーズを豊富にラインナップしているのも魅力です。

シチュエーションで選ぶマイクロフォン 【レコーディング編】

AUDIO-TECHNICA マイクロフォンセット AT2020の画像
AUDIO-TECHNICA AT2020

AUDIO-TECHNICA AT2020

コンデンサーマイクのエントリーモデルとして長きにわたってトップセラーの位置を維持するオーディオテクニカのコンデンサーマイク。

精悍なブラックのカラーリングが施されており非常にワイドレンジで繊細な収音性能を誇ります。
ボーカルやアコースティックギター、管楽器類のレコーディングになんでも使える優等生的マイク。

AKG マイクロフォン C214の画像
AKG C214

AKG C214

名機C414と同じ1インチサイズのラージダイアフラムを搭載したコンデンサーマイク。

最大音圧レベルは136dBを達成し、高音圧の音源にも迷いなくチョイスできます。

AKGらしく4kHz以上が少し持ち上がったハイ上がりの特性が、際立たせたいソロパートを持つような楽器全般に、もちろんボーカルにも抜群の相性を誇ります。

C414から機能面を絞ったコストパフォーマンス機ですが、20dBのパッドと、ローカットフィルターの実戦向け機能はきちんと搭載されてるところも魅力です。

AKG マイクロフォン C451 Bの画像
AKG C451B

AKG C451B

ライブ/楽器編でも少し紹介した、スティック型(またはペンシル型)と呼ばれるスモールダイアフラムのコンデンサーマイクの超定番、通称「シゴイチ」です。

しかし、この業界の相性の付け方、結構ワンパターンですよね(笑)

スモールダイアフラムマイクのストロングポイントはダイアフラムの小ささ(軽さ)が強みとなる瞬発力の速さ。

シンバル物を含めた打楽器全般はもちろん、フィンガーピッキングスタイルのアコースティックギターにも相性が良く1本あると使い回しがとても便利です。

全くの余談ですが、一発撮りのパフォーマンスを鮮明に切り取るというコンセプトで多くのアーティストが名演を繰り広げているYoutubeチャンネル The First Take

4月に公開された秦基博さんの演奏はボーカル用のラージダイアフラムマイク×1とアコースティックギターにスモールダイアフラムのマイク×2というセッティングでした。名曲「鱗 (うろこ)」を一切の余分な飾りを廃した、声とギターだけで聴かせる圧巻のパフォーマンスでした。

秦 基博 – 鱗 (うろこ) / THE FIRST TAKE

シチュエーションで選ぶマイクロフォン 【配信も高音質に】

宅録とともに、昨今のプライベートユースで需要が多いのが配信をシンプルに、かつ高音質でやりたいという需要です。需要に応える形で各社PCやスマホにダイレクトに接続できるUSB接続対応のマイクが続々とリリースされています。

また、まだまだ収束が見えないコロナ禍で一般的になった(なってしまった感もありますが…)リモート会議用にも転用される方も多いようです。確かに音がいい方がストレスは圧倒的に少ないですよね。

AKG マイクロフォン LYRAの画像
AKG Lyra

AKG Lyra-Y3

スタンド一体型でデスクトップにポンッと置けばセット完了というスタリッシュなデザイン、Windows やMac PC はもちろん、iOS やAndroid 端末にも対応したUSBマイクロフォンのAKG Lyra-Y3

前面には操作頻度の高いヘッドホンの出力音量つまみとミュートボタンを、背面には収音モードの切り替えつまみとゲインの調整つまみを装備した操作性の高いデザインです。現在の収音モードは正面のLEDで確認できるので視認性も抜群。

特に前面のミュートボタン、最近のリモート会議は多人数になることも多く、発言時以外はミュートを推奨されることよくありますよね。このサイズのボタンで手元操作できるのすごく便利です。

仕事柄、いろんな機材でリモート会議を試してみましたが、音質、操作性、ともこれが一番でした。

音楽やれよって話ですが、すいません。

Earthworksマイクロフォン ICONの画像
Earthworks ICON

Earthworks ICON

配信の際にはどうしてもマイクが映像に写り込むこともありますよね?

Earthworks ICONはステンレスの削り出しによって製造された洗練されたスタイリッシュなデザイン。単純にかっこいい、いやもはや美しいです。写り込んでも大丈夫、というか写り込ませたい(笑)

独自の特許技術によって、マイクの正面以外の音声を大幅に減衰することが可能で、周辺環境をコントロールすることができないシーンでも出演者にフォーカスした収音を可能にしています。

また先に説明した近接効果による低音の増幅を逆に最小限にするような独自設計が施されており、マイクとの距離感を一定に保つことが難しい環境下でも変化の少ないサウンドが特徴です。

CUSTOM TRY USBマイクロフォンセット CM-5000U の画像
CUSTOM TRY CM-5000U

CUSTOM TRY CM-5000U

やばいコスパです笑

マイク、デスクマウント型アームスタンド、ショックマウント、ウィンドスクリーン、ポップフィルター、USBケーブルまでついたオールインワンセット。

これで5000円台とか、だいぶどうかしてます….

とはいえ、入門機としてまずは手軽に始めたい、という方に。価格こそ安いですが、音も質感も全く悪くないです。

楽器屋泣かせ。

まとめとその他の「いまさら聞けないPA レコーディング入門」記事はこちら

「いまさら聞けないPA レコーディング入門 マイク編」はいかがだったでしょうか。

マイクはある意味最も古い音響機器の一つですので、超ロングセラーモデルから新進気鋭のブランドまで幅広く、今回ご紹介できたモデル、ブランドも本当にごくごく一部でした。

それぞれに特徴やストロングポイントがあり、ギタリストが曲によってギターを持ち帰るようにまたはエフェクターを踏むように、マイクロフォンも楽器やシーンによってうまく使い分けることで演奏の表現力を高めてくれる奥の深い機材(楽器)です。

ぜひ色々なマイクを試してみてください。

chuya-online.comのマイクロフォンコーナーはこちら

chuya-online.comのダイナミックマイクロフォンコーナーはこちら

chuya-online.comのコンデンサーマイクロフォンコーナーはこちら

chuya-online.comの楽器情報サイトDiscover、「いまさら聞けないPA レコーディング入門」シリーズの他の記事はこちらから。