【メーカーに訊く】 #圧強め が話題のパワーサプライ「KIP-001」についてキクタニミュージックに訊いてみた 前編
国内外の楽器ブランドを数多く取り扱うキクタニミュージック株式会社。2021年後半、TwitterなどのSNSで話題になったパワーサプライ「KIP-001」をリリースしているメーカーとしても知られています。ありそうでなかった性能や機能でプレイヤーの支持を集めているKIP-001の開発担当者に、これまで語られなかったエピソードを伺ってきました。それではメーカーの熱い想いをどうぞ!
キクタニミュージック株式会社公式ウェブサイト:https://www.kikutani.co.jp/
K.E.Sブランドページ:http://www.kikutani.co.jp/kes/
2人のキーマンに訊く
──── 今回はよろしくお願いいたします。まずお二方の所属部署と製品の担当箇所を教えて下さい。
八田(やつだ)さん(左)「遘√�蝟カ讌ュ莨∫′//// a…ア。オンセイガ。ハッキングされ……、 大丈夫そうですか?? では改めて……、私は営業企画部なんデスガ、商品とパッケージのデザインを担当しました。oya? カメラがハッキングされているようデスね……。私の顔はハッキングされやすいんデスヨネ……」。
中垣さん(右)「(冷静に)私は特定の部署には所属していないんです。
対外的に『プランニング・アンド・エンジニアリング・セクション』と名刺には謳っていますが、まあハッタリですね。要は『なんでもやる課』のような感じです。
当然、普段は開発以外の仕事がほとんどです。今回のKIP-001に関しては全体のプロデュースと仕様などを決める役割を担当いたしました」。
──── 自社の「K.E.S」ブランドのご担当は中垣さん以外にもいらっしゃるのですか?
中垣さん「商品企画については、私と他に2人おります。商品ジャンルによって違いますね」。
KIP-001 登場のキッカケ
──── 「KIP-001」はどんな経緯で登場したのですか?
中垣さん「私はプロジェクトの途中から関わったのですが、サンプルが上がってきたときに、『まだまだ良くできるな』と思ったんですよ。
過去に『K.E.S』ブランドで発売したものも評判が良かったですし、このままでは勿体ないと。既存のメジャーブランドのパワーサプライに勝てないとも思いました。
売るならシッカリしたものを作りたい、と考えて『自分にやらせてください』と、半ば強引にカットインしました。
製造をお願いしている会社さんと自分がダイレクトにやりとりをするようになって、かなり細かく指示を出しました。それにレスポンス良く応えていただいて仕様が固まっていきました。最終のサンプルからも2、3回の手直しにも対応いただいて。本当に感謝しています。
そうしたやりとりと半導体などの部品の世界的な不足が起こり、発売が当初の予定から半年くらいズレ込みました。外観やパッケージに関しては八田に完全にお任せな感じで、好きにやってくださいとお願いしました」。
──── サンプル品から仕様変更をかなり詰めていったのですね。そして世界的な部品供給不足もあったと。
中垣さん「そうなんです。開発に当たっては、自分がこのパワーサプライを使うときのことを想像しました。
軽量コンパクト、かつ電圧を高くしたかったのがまず一つ。9Vちょうどよりも電圧を上げたかった。9.6Vだと拡張を考えた時に他に影響が出てくる可能性がある。9.4Vがちょうど良いという結論になりました。
このサイズと電圧と5口という仕様が固まって、口数が足りない方向けに拡張キットも使えるようにとリンクアウト機能を盛り込みました」。
──── そのうちの1口を可変電圧(9V-12V-18V)にしたのですね。とても使い勝手が良いと思いました。
#圧強め でミュージシャンとファンを巻き込んだプロモーションに成功
──── 実際商品が発売されてから、Twitterでの投稿やリレーション的な動きも活発でしたよね。
八田さん「リレーションの担当がいマスので『アーティスト様全員に一度使ってもらってくダサイ!』と。みなさん実際に使っていただいて良い反応がアリマシタね」。
中垣さん「(冷静に)Twitterでプロモーションをやるのであれば、ハッシュタグが必要ということで #圧強め というのを考えました。製品の特徴をとらえつつシンプルでわかりやすいかなと。商品の特徴と噛み合った感じがありますね」。
──── 発売されてから、どこも品薄のようですね。弊社でも品切れ状態が続いています。
中垣さん「初回の生産数もかなり多めにオーダーして、3ヶ月で売り切れるくらいの個数をオーダーしたのですが、発売後2週間で完売してしまいました。おかげさまで予想外に売れてしまって。
発売してすぐの時期、社員でギターを弾くスタッフに『買っておいた方が良いよ。無くなるかもよ』と言いました(苦笑)。でもそれどころじゃないくらいの市場の反応があって。
ご迷惑をおかけしているところですが、今年中(2021年中)に入って……こないですね……。大変申し訳ございません。
年明けには、と思っているのですが、この世界的な半導体不足の影響が強いです。できるだけ早く皆さんのお手元に届けられるよう進めてまいりますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです」。
キクタニミュージックの社風は自由の中にも規律あり
──── 今回のKIP-001を通じて、企画からプロモーションまでじつに自由な印象があります。キクタニミュージックさんの社風にはどんな特徴があるのでしょう?
八田さん「『根はマジメだけどふざけたがり』って感じデスカネ。通常の業務はキッチリやりますケド、基本的にみんな『面白いことがスキ』ナノデ、こういう面白いことやりたい! と声を上げて、それが面白そうなら採用されマスね。
やってみたいを優先させてもらえるのは嬉しいですね。それによって逆に真面目に働けてるというか……。顔面、音声ハック状態で言っても説得力ないカモデスガ、、、」。
中垣さん「(冷静に)仕事としてきちんと結果を出してさえいれば、他は何も言わない。容姿含め細かいことは言われないってことですかねえ」。
──── キクタニミュージックさんはSNSの投稿も積極的で、勝手ながらチューヤオンラインと通ずるところがあると思っています。
八田さん「チューヤ様の足元にも及ばないとオモイマスが、そう言っていただけるとアリガタイデス。SNS投稿に関しては特にフレキシブルにルールが設定さレていマス。 どれだけディーラー様、エンドユーザー様に『(いい意味で)やべえ!』と思ってもらえるか。が大切だと思ってオリマス。
『真面目に作った製品を全力でふざけてプロモーションする』。これが個人的に大切にしているポイントデスね。一転、整理整頓は厳しいデスネ。ルールとして終業時にはデスクの上にマウスと電話しか置いてはいけないという決まりがアリマス。マウスパッドも絵柄が入っていないシンプルなものに統一サレテイマス」。
中垣さん「(冷静に)例外もあって、残念ながら私がとにかく整理整頓が苦手で……。実は私のデスクの後ろの棚には、自分で作ったペダルとヴィンテージのパーツが山になっています(笑)。
恐らく、みんな見て見ぬふりしてくれてます(笑)」。
──── それはとても気になります(笑)。続いてKIP-001のデザイン周りや未来の展開についてお聞きしていきたいと思います。
後編に続く
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KIP-001
追加拡張ユニット
KIP-001 & KIP-AD5
(編集&撮影 赤坂太一)