【メーカーに訊く】 #圧強め が話題のパワーサプライ「KIP-001」についてキクタニミュージックに訊いてみた 後編

パワーサプライ「K.E.S KIP-001」についてメーカー「キクタニミュージック」に訊く

キクタニミュージック株式会社のオリジナルブランド「K.E.S」が送るパワーサプライ「KIP-001」。軽量コンパクトでありながら、電圧強めかつフルアイソレート仕様を実現し、多くのミュージシャンの間で話題になったモデルです。前編では開発の経緯をお伺いしてきましたが、後編では独自の世界観を放つデザインや、次なる展開についてお話していただきます。

キクタニミュージック株式会社公式ウェブサイト:https://www.kikutani.co.jp/
K.E.Sブランドページ:http://www.kikutani.co.jp/kes/

前編はこちら

機能だけでなく唯一無二のデザインをもつパワーサプライ

──── デザインはどのように進みましたか?

中垣さん「最初は、筐体の色もランプの色も違っていましたね。最初はオレンジじゃなかったんですよ。ガンメタリックだったかな。あれはあれで良かったよね」。

八田(やつだ)さん「譛€蛻昴�///… on声ガハックされてますね……、大丈夫デスかね?

改めて……、最初はグリーンの予定デシタ。他のスタッフに相談したところ『オレンジなんかいいんじゃない? 市場に無いし』と助言をもらって。すでにレッドやブルーの製品は存在していますし、オレンジはなかなかこれまで無かったので、それを元に外観のデザインに進みマシタ。

左:八田鉱平さん(営業企画部)と右:中垣康博さん(プランニング・アンド・エンジニアリング・セクション)
左:八田鉱平さん(営業企画部)と右:中垣康博さん(プランニング・アンド・エンジニアリング・セクション)

八田さん「筐体外観のデザインは、筐体のキャドデータをいただいて電脳空間・・デハナク、イラストレーター上でどうしようかと考えていきました。

そもそも『K.E.S』ブランドのコンセプトとして『男の子が欲しくなるデザイン』にしたいと考えているんです。ロボットアニメの世界感がわかりやすいかもしれませんね。ロボット自体に使用されている文字やロゴマークなどの文字デザインのような世界観があるもの。そこにあと少しの商品自体の特色を足します。今回デスと、少し無骨さというか硬さを持たセマシタ。

KIP-001』のマークデスが、5系統の出力端子があるということで、五角形を5つ並べたデザインで考えました。社内では海外に輸出もしたいね、という向きもあるので、『じゃあ漢字や日本語だろう』と。

フォントも未来というか“管理されたディストピア“的なものを表現したかったので、直線を組み合わせてオリジナルで文字を作っています。ここにはアイソレートされているパワーサプライということで”別電力“と入れています。

五角形をさらに五角形に配置。そして「別出力(アイソレート)」の文字
五角形をさらに五角形に配置。そして「別電力(アイソレート)」の文字!

カワイイ系やおしゃれなデザインや絵柄の楽器系アイテムは増えているので、自分たちは違う方向で行こうという。ホビーっぽさというか、プラモデルやエアガン、フィギュアなどの箱から取り出したときの喜びに似た感じですね。

どこか危ない、未来の闇界隈で売られている横流し品みたいなモノが送られてきた、みたいなパッケージで(笑)」。

パッケージにも世界観を

──── その送られてきたときのパッケージも楽しめますよね。楽器が好きな人はロボットアニメが好きな人も多いと思いますし。SF空想系に登場する街中の看板みたいな感じがありますよね。

ヤバいブツが送られてきた感

八田さん「そうなんですよ! ちょっと考えていることがあって、別にSNSのアカウントを立ち上げて、この世界観で商品を紹介するっていうのをやりたいんですよね(笑)。

K.E.S』という架空の会社が、荒廃した未来でエフェクターを仕入れたり開発して販売していて、それを誰も管理しなくなったAIが無自覚のまま時空を超えてツイートし続けている……みたいな。そういう“設定”で。ずっと劇中の中にいる感じで。なので、今後の製品も世界軸自体は同じで、開発企業が違ったり、居住区が違ったり、みたいな感じでそれぞれのアイテムのカラーを出す予定デス」。

中垣さん「(冷静に)『K.E.S』をどうブランディングしていくかの話をするときに、自分たちで面白くしていけるか、それを楽しんでやれるか、を考えています」。

担当者のお気に入りポイント

──── 「KIP-001」について、それぞれお気に入りのポイントって教えてもらえますか?

八田さん「パッケージ、筐体に使用したほぼ全てのフォントを手作りしたところデス。直線だけを組み合わせた文字をオリジナルで作りマシタ。

こういうことはもちろん説明書には書いていないデスシ、ハズカシイからTwitterでもそこまで細かく言っていないデス。

このパッケージと製品本体で世界観にまとまりが出せたのは嬉しカッタです。。

世界観というかコンセプト的には宇宙船とか重機、でっかい兵器とかを作っているメーカーがこういう製品も作りました、みたいなイメージ。重工系の企業が作っているような冷たさというか無骨さトイウカ。

量産品で一般居住区で販売されていて、多分固形食糧三日分くらいの価格デスカネ笑」。

中垣さん「やはり一番は、必要な機能や性能を“全部”出しているってことですかね」。

KIP-001を手に持つ八田氏と中垣氏

次なる展開は?

──── 次のアイテムも気になるところです。

中垣さん「コレなんですが、こちらもコンセプトがありまして……(とファイルを取り出す)」。

謎のファイルを取り出す中垣氏
なんですか! コレは!

中垣さん「新しいパワーサプライのデザインデータの最終稿です。私の大好きなとあるアニメの世界観を八田にオーダーして、あとは自由にって感じですね。筐体の色は今度こそグリーンで、と押し切りました。

ファズは電圧が低い方が音がイイ場合も多いので、自分の好きな電圧に無段階に可変できるようにしています。口数も多く、スペースも小さくしながらファズをちゃんと使えるようにしたかったので。

可変できるポートにはそれぞれに対応したインジケータがあるので、設定した電圧が数値としてハッキリ判るところもポイントですね。

新しいパワーサプライのデザインデータの最終稿

これでやりたかったことは『KIP-001』に盛り込まなかったアイデアを、どうにかして入れ込む事でした。ただ毎回そうですが、企画から市販までのプロセスを通じて、製品価格を決定するのがとてもむずかしいんですよね。

やはり『KIP-001』のヒットがあったので、次も出せるという感じです。ですのでこれも売れてくれないとさらに次には続かないので、是非ともK.E.S製品をよろしくお願い致します」。

八田さん「今回はまた違う世界観でデザインしてイマス。製品自体もハイテクなものでバージョンアップしてイマスので、違うアニメの世界をイメージして雰囲気もガラッと変えマシタ。

設定としテは『KIP-001とは開発企業が違い、電脳や、生体デバイス(脳に直接埋め込む系の通信機器)を得意としているグローバル企業が開発した』イメージデス。

『なんとかエレクトロニクス社』みたいな。さらには『KIP-001』が売っている一般居住区とは違う、もうちょっと上の居住区向けの高級品。的なニュアンスは足していマス」。

中垣さん「(冷静に)このように性能や機能面はシビアに行きながら、デザインは自由に遊ぼうという製品づくりをしています。そして生産をお願いしているメーカーさんの協力もかなり大きいです。順調に行けば年内にも最終サンプルが上がって来る予定なので楽しみです」。

──── 最後になりますが「K.E.S」ブランドを将来どういう風にしていきたいですか?

中垣さん「実は、もうすでに次の企画が進行中です。実現できればかなりイイものになると確信してます。

あとこれはホントに最終目標というか個人的な野望でもあるんですが、自分が自作しているペダルに関して、国内のビルダーさんとコラボしたり、アーティストさんに監修してもらってリリースしたいですね。これは大量生産ではなくカスタムショップ的ハンドメイドのものです。

ただ開発費は必ず気にすべきところで、そのバランス、ビジネスになるかというところがジレンマでもあります」。


八田さん「アイエエエエ! 中垣=サン! 次! それ言っちゃうんですね! ケーイーエス スゴイ ヤバイ アイテムを企画していますので、楽しみにしていてクダサイ」。

──── 次の製品も期待しています。今回はありがとうございました!

次なるアイテムも期待しております!

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(編集&撮影 赤坂太一