Pioneer DJ の新たなリスニングスタイル、HDJ-CX を実機レビュー 軽量でしなやかなオンイヤー型ヘッドホン
Pioneer DJ HDJ-CX 軽さとしなやかさを両立したオンイヤー型ヘッドホン
DJ機器ブランドとして世界で圧倒的なシェアを持つ Pioneer DJ はDJに特化したヘッドホンも数多くラインアップしています。今回は Pioneer DJ から新たにラインナップに加わった、軽さと耐久性を兼ね備えたオンイヤー型プロフェッショナル DJヘッドホン「HDJ-CX」を実機レビューしていこうと思います。
Pioneer DJ HDJ-CXについて
まずは公式の情報を観ていきましょう。
圧倒的な軽さと耐久性を兼ね備えたオンイヤー型プロフェッショナル DJヘッドホン「HDJ-CX」は、ミニマルでスタイリッシュなデザインと着けていることを忘れるほど快適な装着感を両立し、さらに音量の大きい環境でのミックスとモニタリングに適した、タイトでワイドレンジなサウンドと高い遮音性を実現しました。
軽量でありながら高耐久、オンイヤー型だけど高い遮音性を備えてるというところがポイントですね。
それでは実機を観ていきましょう!
圧倒的な軽さと耐久性で長時間のリスニングも快適
開封してまず気がつくこと、「かるっ!」
HDJ-CXは耳をすっぽりと覆う「オーバーイヤー型」ではなく、ちょうど耳の輪郭に沿ってのせるようなイメージの「オンイヤー型」を採用しています。そのため最近の一般的なヘッドホンより多少コンパクトな筐体になります。
大きさを比較してみましょう。
Pioneer DJの中でおそらく一番大型になると思われる HDJ-X10との比較。イヤーカップはもちろん、ヘッドバンドにかけての作りがまるで違います。
タイトで分離感あるサウンドはDJユースだけでなくモニター用としても
早速サウンドをチェック。
第一印象は「近い!」。
イヤーカップが小型でドライバーユニットと耳の距離感が近いせいか、そばで鳴ってる感が強いです。
タイトで引き締まった音質で、各楽器の音像というか、輪郭がすごくはっきり見えます(聞こえます)。
音の減衰や、切れ際もカチッとしており、そのせいか左右の定位も掴みやすい印象があります。
DJユースだけでなく、モニター用、特に定位を決める初期ミックスの場面などで使い勝手が良さそうです。
ドライバーユニットは35mmとやや小型ですが、低域の弱さは感じず、ブーミーさがなくタイトなので、むしろベースやバスドラムはクリアに聞こえます。
DJヘッドホンならではの高音圧と高耐入力
タフな環境下での使用が多い、DJヘッドホンには音質と同じように高い音圧(つまりどれくらいデカい音が出るか)も求められます。
HDJ-CXはドライバーユニットも小さめなので、そこは少し懸念していましたが、最大入力(JEITA)2000mWを達成。このサイズの中ではかなり高音圧、高耐入力です。
同じPioneer DJのラインナップの中で最大入力を比較すると、例えば、HDJ-X10にはやや劣りますが、HDJ-X5との比較では同等です。
サイズ感を考えると驚異的です。
インピーダンスは32Ω設定なのでスマホ直でも十分な音量。スマホの最大音量では、中年者には長時間のリスニングは不可能でした(笑)。
もちろん最大音量時でも歪みは全くありません。
出力音圧レベル は103dB。かなり繊細なニュアンスを捉え切れてるのが印象に残ります。
余談ですが、ヘッドホンのスペックでよく出てくる「インピーダンス」、「最大入力」、「出力音圧レベル」について少し説明しておきます。
インピーダンスとは
ヘッドホンの抵抗値をオーム(Ω)で表します。数値が大きいほどこの抵抗が大きくなり、流れる電流量が減ります。逆に数値が小さい場合は電流量が増える事を表します。
インピーダンスが高い(電流量が少ない)と同じ再生機器、同じボリューム設定での再生音量が小さくなります。インピーダンスの数値は主にボイスコイル で使われる銅線の細さと長さで決まります。ひとまとめにヘッドホンと言っても指向する音がそれぞれ異なり、使用するパーツも変わるため様々なインピーダンス設定があります。
高いインピーダンスを持つ、いわゆるハイインピーダンスのヘッドホンではスマートフォンやパソコンのヘッドホンアウトからでは十分な音量を得られないこともあり、ヘッドホンアンプなどで信号を増幅して使う事を前提としているモデルもあります。
もちろんインピーダンス以外にも音量に影響する数値があるので一概には言えませんが、スマホやPCに直接繋いでリスニングを楽しみたい方はインピーダンスが低め(目安としては60台以下くらい)のヘッドホンを選びましょう。
最大入力とは
最大許容入力と表記されることもあり、単位はmWで表します。
この値を超えた信号が入ると音が歪みますよ、という目安となる数値で、数値が大きければ大きいほど、より高い入力に対応しています。
普段使いのヘッドホンであれば極端な大音量で聴くことはないと思いますが(耳を大事に!!)DJヘッドホンや、レコーディング用途のヘッドホンの場合、周囲に大きな音が出ていることが多く、どうしても音量を大きくせざるを得ない場合もありますので最大入力の高いヘッドホンが有利になります。
出力音圧レベルとは
「能率」や「感度」という表記がされる場合もある、出力音圧レベル。
単位はdB(デシベル)で表記します。電力を与えたときに、音がどのくらいのレベルで再生音を感じられるかを表します。数値が大きいほど一定のボリュームで大きな音量を得ることができます。
ちょっと個人的見解なのであくまで参考までに、ですが、低域の強さを指向しているヘッドホンは出力音圧レベルがやや低め、レンジの広さや繊細さを指向してるヘッドホンは出力音圧レベルがやや高めな傾向にあると思います。
その法則でいくとHDJ-CXの出力音圧レベル103dBという数値はどちらかと言えばやや低域寄りにも感じますが、試聴したイメージではかなり高域の伸びもあるんですよね… その辺りはドライバーの設計などでうまくバランスをとっているのかなと思います。
以上、ざっくりですが、「インピーダンス」、「最大入力」、「出力音圧レベル」について解説しました。
もちろんメーカーによって計測や算出方法に幅があるので、これだけで全てを把握することは不可能ですが、参考となる数値の一つとして使ってみてはいかがでしょうか。
同じブランドで新しい商品へ買い換える時などは、かなり便利だと思います。
まとめると、Pioneer DJ HDJ-CXは普段使いにも気軽に使えるローインピーダンス(32Ω)で、いざという時の大音量下でも歪みのない音でモニタリングできる最大許容入力(2000mW)を持ち、繊細さと力強さを兼ね備えた出力音圧レベル(103dB)を持ったヘッドホンということです。←一部個人的見解を含みます。
様々シーンで有効なオンイヤーならではのメリット
Pioneer DJ HDJ-CXはイヤーカップがやや小ぶりなオンイヤータイプ。
近年主流になりつつあるのは大型のイヤーカップを持つ、オーバーイヤータイプですが、オンイヤーならではのメリットが感じられるポイントがあるのでご紹介します。
小ぶりなイヤーパッドのおかげで顎関節への影響が少ないです。そのため口を動かすようなボーカルレコーディング、ナレーション、MCをしながらの配信などにもストレスなく使用可能です。
小ぶりながら密閉感が高く、音漏れも少ないのが安心感ありますね。
これによって装着時にもイヤーカップをちょっと前後にずらせば簡単に外音を聞くことができます。
DJさんでお馴染みの肩に挟んでの片耳プレイ。あれかっこいいんですが、コツを掴むまで意外と難しいんですよね。
HDJ-CXなら簡単で何より安全です。
イヤーカップが小さいオンイヤー型ならではの便利なポジショニングです。
あと、まあ、今更そこ?って話になっちゃいますが、ちょっと小型のフォルムがどことなくレトロな雰囲気を醸し出しててかっこいいですよね(笑)。
DJにも普段使いにもガンガン使えるヘッドホン
HDJ-CXのヘッドホンケーブルは脱着式。
ケーブルは普段使いに便利な1.6メートルのストレートケーブルと、DJブースで便利な最大伸長時約3メートルのカールコードタイプが付属しています。
普段使い用ケーブルは長すぎてもかえって邪魔ですし、1.6メートルだとプレイヤーを胸ポケットに入れてても、バックパックなんかに入れてても使えるし便利ですよね。
6.3 mm ステレオ標準プラグへ変換するアダプターと、これをケーブルに止めておけるプラグホルダーが付属。
変換アダプターどれだけ気をつけてもなくなりますよね。で、買ったら出てくるし(笑)。
なくさないように気をつけつつ、どうしても見当たらないときはポチりましょう。いつも有難うございます。
パイオニアDJ純正の変換アダプターはこちら
Pioneer DJ HC-PA0001 HDJ-S7用 変換アダプター
ヘッドホンのミニジャックをより大きなステレオジャックに変換するΦ6.3 mmステレオ標準アダプターです。接続において信頼性の高いねじ式を採用しました。
Pioneer DJのヘッドホンをご紹介
今回レビューしたPioneer DJ HDJ-CXをはじめ、代表的なモデルをいくつかご紹介します。
Pioneer DJ HDJ-CX DJヘッドホン オンイヤー型
今回ご紹介したPioneer DJ HDJ-CXは軽量さと堅牢さ、タイトで明瞭なサウンドを持ち味とする新機軸のDJヘッドホンです。
Pioneer DJ HDJ-CUE1BT-K マットブラック Bluetooth搭載 DJヘッドホン
Pioneer DJ HDJ-CUE1BT は、DJヘッドホンに求められる耐久性と機能性を高いコストパフォーマンスで実現したエントリーモデル。Bluetooth接続にも対応しています。
Pioneer DJ HDJ-X10-K Black DJヘッドホン
世界のプロDJからも多く支持されるPioneer DJ ヘッドホンのフラッグシップモデル。5 Hzから40 kHzまでの高解像度再生を可能にするHDドライバーを採用し、96 kHz/24-bitのハイレゾ音源に対応。どんな環境下でも「確実に聞こえる」信頼のヘッドホンです。
Pioneer DJ HDJ-X5BT-K Black ワイヤレス DJヘッドホン
上位モデルから継承したあらゆるモニタリングを快適にできるハウジング設計、スイベル機構、フレキシブルヘッドバンドを搭載したスタンダードモデル、HDJ-X5にBluetooth機能を追加搭載。移動中の楽曲チェックなども手軽に行えます。
今回は新製品でもある Pioneer DJ HDJ-CX を実機レビューし、代表的なモデルをいくつかご紹介しました。
DJ機器のトップブランドである Pioneer DJ にはまだまだ豊富なDJヘッドホンのラインナップがあります。
近いうちに全機種でのレビューも企画していますのでお楽しみに。