Roland/SPACE ECHO RE-101【エフェクター珍百景006】
エフェクターのレビュワー・ライターとして活躍し、DISCOVERでも「ゆるゆる調査オンライン」などのブログでお馴染みの井戸沼尚也さん。ここは井戸沼さんが所有する個人的なエフェクターのコレクションの中から一風変わった面白いモデルを紹介するコーナーです!
第6回は「Roland/SPACE ECHO RE-101」を紹介します。
Rolandが作ったテープエコーの名器
こんにちは、井戸沼尚也ですっ
ですっ、
ですっ、
ですっ……。
この挨拶でお分かりの方もいるでしょう(います?)、今回ご紹介するのは「テープエコー」です! 国産テープエコーの名器・RolandのREシリーズから、シリーズ中で最もシンプルかつ安価だったRE-101を取り上げます。
Rolandは、1972年に設立された日本を代表する電子楽器メーカーです。日本に住む我々にとってRolandはかなり身近な存在ですが、実はRoland製品は国内よりも海外ではるかに多く売れており(海外売上高比率約88%/連結、2021年12月期)、テープエコーも国内外で高い評価を受けています。
Rolandの最初のテープエコーは、1973年に発売されたRE100とRE200の2機種。どちらもエンドレステープのカートリッジを採用しており(有名なMaestroのEchoplexもカートリッジ式のテープを採用しています)、外観も後のREシリーズとはかなり異なる銀のフロントパネルが印象的なモデルでした。
1974年には、テープ部分を改良した後継機種のRE-101とRE201を発売しています(長―いテープがウネウネと動くフリーランニング方式を採用。/後で登場する動画のオープニングを参照)。
新製品の発売の翌年には改良版を出しているという動きの早さは凄いですね!
当時のテープエコー需要の高さが窺えます。それにしてもRE-101は、もう50年近く前のモデルなんですね!
RE101の兄弟モデルであるRE-201は現在でも非常に人気の高いモデルで、エコーに加えてリヴァーブが使えて、エコーの音質を調整するTreble、Bassのコントロールも搭載。MODE SELECTORでは11種のモード+Reverb Onlyが選べます。
一方、今回紹介するRE-101はリヴァーブなし、EQなし、MODE SELECTORで選べるのも6モードのみ。そのためRE-201の廉価版として低く評価されがちですが、実はシンプルな回路ゆえの太い音はシリーズ随一だと評するマニアもいる、決して侮れないモデルなんです。
シンプルな6モード。1〜3はショートディレイからロングディレイまでの変化、4〜6は複雑でリズミックなディレイパターンを選べるようになっています。
数奇な運命を辿ったRE-101
私がRE-101を手に入れたのは、1980年代半ばから90年代初頭だったと思います。
当時、一緒にバンドをやっていたベーシストが「井戸沼くん、友達が音の出ないテープエコーを持っていてもういらないって言うんだけど、いる?」と聞いてくれたのです。
正直なところ「テープエコーかぁ、部屋が狭いしなぁ……しかも音が出ないって……うーん」と思ったことを覚えています。結局はありがたく頂き今に至るのですが、その頃のテープエコーに対する評価が表れているやりとりだったと思います。
譲ってもらった後も「音の出ないテープエコー」は井戸沼家で眠り続け、時には何かの重しとして、はたまたバランスの悪い家具を支えるものとして、音楽とは関係のないところで活躍してきました。
近年になって「テープエコー、欲しいけど高いよな……そういえばうちのRE-101、あれはやっぱり音が出ないのかな」と思い、何十年か振りに出してきてガチャガチャと触っていたら、出なかったはずの音が出た!! というのがこの個体です。
ジャック部分のガリが酷かったので、それが原因だったのかもしれません。いずれにしても、廃棄寸前だった個体が蘇り、こうして皆さんにご紹介できるのはとても嬉しいことです。
放置され続けたRE-101のサウンドを動画でチェック!
長年放置されていたRE-101はVUメーターが動かず、テープの状態も決して良くはありませんが、そのせいか揺らぎが大きく、アルペジオを弾くとナチュラルなコーラス効果が得られて気持ち良いです(笑)。
実際にどんな音なのか、お待ちかねのサウンドチェック動画をご覧ください!
いかがでしたか?
動画では、前半がクリーントーン、後半が歪みとなっています。ストラトキャスターのリア・ピックアップの音が、RE-101のプリアンプのおかげで程よくマイルドになっているのがわかるでしょうか? エコーのリピート音のローファイ具合もたまりませんね!
前半部分のロングディレイも良い味ですが、MODE SELECTORを「1」にした時のショートディレイの音はなんともいえない味があります。また後半の歪み部分ではロングトーンとテープエコーの相性の良さや、状態の良くない個体らしい適度な発振(笑)も楽しめるかと思います。
現時点で、RE-101ならRE-201やRE-301(後年に発売された、コーラス付きのモデル)よりも価格的にまだ手に入れやすいはずなので、なんとか手に入れてメンテナンスしながら付き合っていくのも楽しいと思いますよ!
またこの動画を見て「こんな音なら、自分はシミュレート・モデルでいいや」、「テープエコーでなくても、アナログディレイでいいや」というのも、大アリな選択だと思います。皆さんの残響ライフに、この記事や動画が役立てば幸いです。
それでは、次回のエフェクター珍百景も、お楽しみに!
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