井戸沼尚也の「ゆるゆるchousa-online」vol.4〜1枚10,000円のピックを弾いてみた

弦よりも硬いジルコニア製ピックを試す!10000円のピックってどうなの?
最小のエフェクター!?
あなたの知らないハイエンド・ピックの世界


機材好きならご存知、「元地下実験室 室長」の肩書をもつ男・井戸沼尚也が、Discover上で気になる機材や演奏のアレコレをゆるっと調査するコーナー「ゆるゆるchousa-online」!

第4回は「 あなたの知らないハイエンド・ピックの世界 」です。

1枚1000円超えもあるハイエンドピックの世界を知る

様々なブランドの1000円越えのピック達
ピックケースから1,000円オーバーのものを集めてみました


こんにちは、井戸沼尚也です。今回はピックだけの写真で失礼いたします。

さて、ピックはギタリストやベーシストにとって、とても身近な存在ですよね。

演奏性や音に直結するアイテムだけに、皆さんもこだわりがかなりおありだと思います。形、厚さ、素材、どれも大事です。それと無視できないのが「価格」。

ピックは使っていると、だんだんと削れていく消耗品です。あまり高価なものを使うよりもリーズナブルで、どこにでも売っているものが良いと考える人が多いのもよくわかります。


しかし、世の中には演奏性やサウンドが素晴らしければ価格は二の次、というクレイジーなメーカーやユーザーがいます(もちろん褒めてますよ!)。


ピックは1枚200〜300円だとちょっと高い感じがしますが(私見です)、なんと1枚1,000円オーバーはザラで、5,000円オーバー(!)、10,000円オーバー(!!)といったハイエンド・ピックの世界が存在します。

今回は私物から、1,000円オーバーのピックをいくつかご紹介しましょう。

ハイエンドピックのはしり“BlueChip”

BlueChipピック
ツルツルしているのに微かな粘りも感じる、独特の手触りです

ハイエンド・ピックといえば、米国テネシー州ノックスビルで、わずか5名で手作りされているBlueChipピックの名前が真っ先に上がるのではないでしょうか? 

創業がいつ頃なのか、HPにも記載されていませんが、今のようにハイエンド・ピックが巷に溢れる以前から、伝説的なピックとして知られていたのは確かです。

日本での販売価格は1枚5,000円オーバー!! いつか手にしてみたい、憧れのピックという感じでした。


私が入手したのはティアドロップ型の「TD 40」というモデル。右利き用です(BlueChipには、右利き用、左利き用があります)。エッジ部分に独自の「プロペラ・カット」という処理が施されていて、ピッキングした際の弦離れがよいです。

音は素直で澄んでいる感じ。カントリーやブルーグラスなど、クリーンな音を好むプレイヤー達に愛されている理由がよくわかりました。

変態ハイエンドピックの王様 ”V-PICKS INSANITY”

VロートプレミアムとV-pick Insanity
VロートプレミアムとV-PICKS INSANITY


変態っぽいピックは数あれど、約5,000円という価格と11.85mm(!)という、とんでもないブ厚さから変態ハイエンドの王様といえるのがV-PICKSの”INSANITY”です。

私はロート製薬のVロートプレミアムという目薬を愛用しているのですが、厚みやカット加工の具合など近いものを感じます。

握った感じもなんだか似ています。

ロート製薬:Vロートプレミアム(注:ピックではありません)
ロート製薬:Vロートプレミアム(注:ピックではありません)
V-Pick Insanity ピック
V-PICKS INSANITY どちらもピックを持っている感覚ではありません

音に関しては「INSANITY」の方が良いです(当たり前)。アクリル特有のカツンとしたアタック、豊かな音量と太い音(厚みや重さが関係している?)は、他では味わえません。

ちなみにバージョンが新しくなっている「V-PICKS V-INSANITY」はチューヤオンラインでも購入できるようですね。

V-PICKS V-INSANITYの購入はこちら

V-PICKS V-INSANITY
V-PICKS V-INSANITY

遂に登場! 10,000円オーバーのHADES(ハデス)

HADES(ハデス) ジルコニア製ピック
さすが超高級ピック! 立派なケースに収められています


ピックの価格は1枚5,000円くらいが上限かなぁと思っていましたが、その壁を軽くぶち破るピックが登場しました。

販売価格は、なんと11,880円(税込)! ジルコニア・セラミックという人工歯根などに使われる素材で作られた「HADES」というピックです(だから、『歯です』??)。

なんとこちら、国産ピックで福岡県の精密加工メーカーが作っているそうです。まだまだ全国的に流通していないようですね。大量生産も難しく希少性も高いです。ちなみにchuya-onlineでも購入できますよ!

HADES ピックのご購入はこちら

HADES Teardrop 1.0mm ピック
HADES Teardrop 1.0mm

今回の調査で使用したモデルは「ティアドロップ型 / 1.0mm」

他にも厚さ違い、形状違いで今回の調査で使用した物も含めて、合計9種類をラインナップしています。

そのほかのHADESピック一覧はコチラ!

編集部が製造元に潜入してみました

製造元である株式会社ピーエムティー(福岡県糟屋郡)
製造元である株式会社ピーエムティー(福岡県糟屋郡)
ハデスピックの製造現場
別記事にてハデスピックの製造現場を紹介!!

いよいよ動画で検証!

ここで、まずはピックを落下させた音を聞いてみてください。HADESの硬質な音の傾向がわかると思います。
先に某社のティアドロップ型1mmのピックを落とし、次にHADESティアドロップ1mmを落とします。

数秒で終わるので、見逃さないように笑


某社ピックが“ペシャリ”と落ちるのに対し、HADESは“カチリ”と落ちます。全然違いますね!
それでは、より詳しい説明と比較を、動画でご覧ください!

ドキドキ……

途中の比較部分、アコギはiPhone+外付けマイクで部屋鳴りが入っていますが、全然違うのがわかると思います。エレキはアンプにマイクを立てています。最初が比較用低価格ピック、次がHADESです。


いかがでしたか?

動画でアコギを弾いたのが、正真正銘HADESでギターを弾いた初めての瞬間だったので、その時の顔つきに全て表れているのではないでしょうか(じつは購入後、この時まで弾かずにとっておきました笑)。


感想をもう少し述べるとHADESはまずアタックが違います。

特に巻き弦に対してはギリッと噛み付くようなアタック音が出ます。あとはなんというか、独特の硬質で身が詰まったような音がしますね。同じリフを弾いても、HADESの方がタイトになります。


音質に関しては、もちろん人それぞれの好みがありますがこれまでのピックとは違う響きを持っていることは確かだと思います。ピックと思えば高いですが、エフェクターの一種だと考えれば、それほど高くはありません。

私はジミヘンのような歯弾きができないのですが、できる方の歯弾きvs HADESの検証、お待ちしております(笑)。


それでは、次回のゆるゆるchousa-onlineも、お楽しみにー!


ほかにも色々探せる、chuya-onlineのピックの一覧はこちら

(執筆&撮影:井戸沼尚也 編集&撮影:赤坂太一