井戸沼尚也の「ゆるゆるchousa-online」vol.6〜低価格帯ディストーションから“買いのモデル”を探せ！
機材好きならご存知、「元地下実験室 室長」の肩書をもつ男・井戸沼尚也が、Discover上で気になる機材や演奏のアレコレをゆるっと調査するコーナー「ゆるゆるchousa-online」！
第６回のテーマは
「低価格のディストーションから“買いのモデル”を探せ！」です。
１万円以下で買うべきモデルはどれだ！？
少しずつ寒くなってきましたね。
私は“物欲の秋”のせいか、お財布の中もスースーしてきました汗。
しかし日頃から「100万円持っていたら100万円の機材を買い、1000円しかないなら1000円の機材を買う。紙幣とは、すなわち機材引換券なのだ」と言い放ち、家人に白い目で見られている私です。財布の中が寂しければ、それに見合った機材を探したい！
というわけで、今回のテーマは寒さを吹き飛ばす燃えるようなディストーション、しかも販売価格が１万円以下の低価格のモデルばかりを集めて、その中に“買いのモデル”があるのかを調査します。
今回の調査対象は、こちら！
写真左から、
RevoL effects EMD-01 METAL INSANITY DISTORTION
Effects Bakery Croissant Distortion
5機種の特徴をおさらい
それぞれのサウンドをチェックする前に、各モデルの概要を説明しましょう。
※以下全モデル、価格は2021年10月20日現在のものです。
RevoL effects EMD-01 METAL INSANITY DISTORTION
このモデルは、超強力なハイゲイン・ディストーションです。
今回の５機種の中でもっとも低価格ですが、もっとも深く歪みます。”METAL INSANITY”の名のとおり「ヘビィメタルサウンドを奏でるためのもの」ということで、メタルの中でも激しいスラッシュなんかに合いそうな音がします。
ミニスイッチがついており、中央位置（ブーストオフ）でも「激しすぎ！」な歪みなのですが、下位置（ローブースト）、さらに上位置（ハイブースト）の音と言ったら……。ミニ天丼を頼んだらメガ盛りが出てきたような、トゥーマッチ感のあるディストーションです。正直、好みは分かれるでしょう。ぜひ動画でご確認ください。
私は最初「エッ？」と思いましたが、嫌いじゃないです（笑）。
チューヤオンライン販売価格3,500円 税込
Mighty Sound M1 Distortion
これは、価格こそ安いですが、歪み方、弾き心地が自然なディストーションです。
“スタックチューブアンプを歪ませたような、オールドテイストなディストーションサウンドが特徴”ということですが、本当にそんな感じで、80年代あたりのメタル、ハードロックをやるにはとても良さそうです。
ミニスイッチは下位置（ノーマル／LED青）と上位置（クランチ／LED赤）で劇的な変化はないのですが、クランチの方が歪みの粒がやや細かく好みでした。動画では、前半がノーマル、後半がクランチとなっていますので、ぜひチェックしてみてください。
ディストーションのつまみが小さすぎて回しにくいですが、一回気に入ったところに設定すればそう回さないので問題ないでしょう。
チューヤオンライン販売価格3,980円 税込
Effects Bakery Croissant Distortion
「安い、可愛い、音がいい」でミニ・ペダルの中でも人気のあるエフェクツ・ベーカリーのディストーションです。実はこれ、今回の5機種の中で最も異色のペダルです。音がオーバードライブ的なんですよ。
オーバードライブとディストーションの明確な定義がないので説明が難しいのですが、私にとっては“歪みがより深い＝ディストーション”という音質面以外に、“あえてピッキングのニュアンスを排除し、粒を揃えて弾きたくなるペダル＝ディストーション”という超個人的、かつプレイヤー感覚の線引きがあるんです。
このペダルは、ピッキングのニュアンスを楽しみ、ブルージーなネバネバとしたフレーズを弾きたくなるところがディストーションとしては異色なんですね。価格、可愛さに惑わされず、経験を積んだ大人のプレイヤーに試してもらいたいです。
ゲインは12時がいいかもしれません。
チューヤオンライン販売価格4,532円 税込
Mooer Black Secret
とても滑らかで、弾いていて気持ちが良いディストーションです。
ミニスイッチは、上位置がビンテージ、下位置がターボ。私は、特にビンテージ・モードのウォームなサウンドが気に入りました。印象としては、Mighty Sound M1 Distortionのクランチ・モードの音と近いです。本機のターボ・モードは音量が爆上がりするので、切り替え時には要注意です。
それから、このモデルはバイパスの音が比較的良いのも美点です。動画では必ずオフの音から弾き始めているので、そこも比べてみてください。
チューヤオンライン販売価格6,400円 税込
tc electronic MAGUS PRO
今回の5機種の中で、最高額のモデルです。8,000円超えですが価格に見合った価値があるモデルといえます。
いやーリーズナブルなラインとはいえ、さすがtcだなと思いました。
スムーズでナチュラル、気持ちの良いディストーションが簡単に作れます。動画を見ていただくと、このモデルだけ明らかにフレーズが違うのがわかると思うのですが、良い楽器ってそういうものじゃないですか。弾き手にインスピレーションを与えてくれるという。
このモデルからは、今回の5機種の中で唯一そういった感覚を受けました。正直この価格になると選択肢がかなり増えて、本器のようなそこまでメジャーではない存在は選択肢に入ってこないことが多いと思いますが、このモデルも忘れないでください。
あっ、フットスイッチの踏み心地に関しては、非常にソフト（スチャッというヤツ）で、好き嫌いが分かれると思います。
チューヤオンライン販売価格8,745円 税込
実際に音を聞いてみよう！（動画）
それでは、お待ちかねのサウンド・チェック動画です。好みの機種を探してみてください！
最初のペダルの音がもっともエグいですからそこで離脱しないように（笑）。
ちなみに試奏に使用したギターは、ギブソン・レス・ポール・クラシック、ピックアップにはトム・ホームズのH453に載せ替えたものです。
いかがでしたか？ 私は、最後のtcがよかったかなぁ？
ただし最安のRevoL effects EMD-01 METAL INSANITY DISTORTIONのとにかく深く歪ませる、耳に痛いところも含めて出すという個性は唯一無二のものでしたし（飛び道具に近い笑）、Effects Bakery Croissant Distortionの粘り気のあるオーバードライブ的なサウンドも他とは明らかに違うものでした。
このあたりの個性的なモデル、推したいなぁー（笑）。
他の3機種は「値段の割に上質なディストーション」という位置付けです。
今回のテーマである「低価格のディストーションから“買いのモデル”を探せ！」という視点から1品だけを選ぶと、「上質な3機種の中でもっとも安い」、つまりコストパフォーマンスが良いMighty Sound M1 Distortion（クランチ・モード時）が万人におすすめできるということになります。これが、オモテの結論。
ですが、何事にもオモテがあればウラもあります。以下は私の本心ですが、コストパフォーマンスばかりを考えている人の音楽が、他者の心を震わせることができるでしょうか？
価格がいくらであろうと、誰がなんと言おうと、あなた自身が一番気に入ったペダルを踏んで、好きなようにギターを楽しんでいただきたいというのが本音です。
各モデルのセッティング
結論に行く前に、各モデルの最終的なセッティングを紹介しておきます。
RevoL effects の最終セッティング
RevoL effects EMD-01 METAL INSANITY DISTORTIONは、歪みを2時、トーンとレベルを11時、ミニスイッチをHIGHに。
Mighty Sound の最終セッティング
Mighty Sound M1 Distortion は、歪みを全開、トーン11時、レベルを9時、ミニスイッチをクランチモードに。
Effects Bakery の最終セッティング
Effects Bakery Croissant Distortion は、歪み全開、トーン3時、ボリューム11時といった感じ。
Mooer の最終セッティング
Mooer Black Secret は、歪みが1時、レベルが11時、フィルター（ローパス）が10時、ミニスイッチはターボで弾いています（好みはヴィンテージ）。
tc electronic の最終セッティング
tc electronic MAGUS PRO は、歪みが2時、ボリュームが12時、フィルター（ローパス）が10時、ミニスイッチがターボ。
最後の2機種は、開いていくほどにハイがカットされていくローパスフィルターが採用されていましたね。動画内でツマミを動かしていくときの変化などにもご注目いただけますと面白いかと思います。
まとめ
ということで今回の”chousa結果”ですが、
- ずばり、万人におすすめできる低価格ディストーションはMighty Sound M1 Distortion
- 個性派にはRevoL effects EMD-01 METAL INSANITY DISTORTION、Effects Bakery Croissant Distortionも推したい
- 本心 → 好きなもの買って（笑）！！
というまとめになりました。
それでは、次回の”ゆるゆるchousa-online”も、お楽しみにー！
色々探せる、chuya-onlineのエフェクターの一覧はこちら。
（執筆&動画撮影：井戸沼尚也 編集&撮影&動画編集：赤坂太一）
