HADES(ハデス)ピックの製作現場に潜入してみた

HADESピックの製作現場に潜入!

ギターのピックといえばセルロイドなど、”しなり”のある樹脂で作られているケースが多いですよね。

ほかにも様々な新素材のピックが現れ、価格もこれまでの相場とは違う商品が販売されています。1枚800〜1000円なんてものも流通しています。

金属やアクリルなど、独特のトーンを持つ素材もある中、なんと「ジルコニアセラミック」を採用し販売を行っているメーカーがあるのをご存知でしょうか。「人工ダイヤモンド」ともよばれ歯科医療の世界ではインプラントに用いられる硬い素材です。いわゆる陶磁器ですね。

今回、そのジルコニアを使ったピックを製作・販売している「株式会社ピーエムティー」さんにお邪魔させていただく貴重な機会を得て、製作現場に潜入してきました。

当サイト「Discover」内の「ゆるゆるchousa-online」でお送りした内容でも、「これはもうエフェクター。そう思えば1万円は決して高くない」という感想が飛び出したHADESピック、どんな環境で作られているのでしょうか。

(検証動画アリ)「井戸沼尚也の「ゆるゆるchousa-online」vol.4〜1枚10,000円のピックを弾いてみた」

精密機器を専門とする会社のレクリエーションからうまれたピック

今回お邪魔した株式会社ピーエムティーさんの社屋

様々なセラミック・金属を使った超精密加工を得意とする株式会社ピーエムティーは、半導体をつかった計測装置の製造など、外部からのあらゆるニーズに応える企業さんです。

「どこにピックを作る要素があるの?」という疑問が湧きますが、精密な計測装置にジルコニアは欠かせない素材としてメジャーな存在であることが今回の取材でわかりました。

今回の取材に対応していただいた相田さん(左)と中野さん(右)に色々とお話を伺いました。

中野さん
「HADESピックを作ろうと思ったのは、もう3年前になります。当社は軽音部やスポーツ部などがあり、レクリエーションが盛んな会社でして、バンドが練習できる部屋などもあります。私たちも楽器が好きです」。

と、HADESピックのプロジェクトのお話から取材がスタートしました。

相田さん
「当社では様々な計測装置を製作するにあたり、セラミックや金属を加工する場面が多いんです。ある日『ジルコニアでピックを作ってみたらどうなるだろう?』となり、その可能性を探っていくことにしました。どうせなら良いものを作ってギタリストが喜んでくれるような製品にして、自社の事業として成長させたいと思ったんです」。

とはいえ、厚さ1ミリ程度の小さなピックを陶磁器の硬さをもつジルコニアで製作するには大きなハードルがあったのではないでしょうか。

薄いジルコニアの板材から削り出していく

ジルコニアの板材。厚さは2mmほど。

上の写真はジルコニアの板。約2mmの厚さがあり、ここから専用の切削機械によって薄く仕上げられますが、ここが企業秘密によりお見せできないとのことでした。ここがキモになるんですね。いきなりピークを迎えた感があります。

切削断面がフレッシュ。ここから滑らかに加工していく

こちらは1.5mmの厚さに削り、さらにピックの型に切り出したところ。ここからエッジの処理に進んでいきます。

右から左へと、製作工程が進んでいく

右から左に進み製品に近づいていく。エッジの処理によってサウンドが決定するので、決定に至るまでに、多くのテストが繰り返されたとのこと。

HADESピックはどんな場所で生まれるのか

HADESピックは広い工場内の一角で作り出されています。案内していただくと……。

大型の精密加工機器が動いておりました。
2名が座れるデスク。ここで手作業によって最終仕上げが行われる。
1枚1枚手作業による研磨

ジルコニアの板をピックの厚さにまで削り、ピックの形に切り出し、そこからエッジ処理。こちらは1枚1枚手作業によって仕上げられています。ものすごい手間ですね。

手前が回転ヤスリのビット
職人の感覚が重要ですね。

ダイヤモンドの粉を塗布し、細かく番手を上げながら研磨を続けていきます。

製造工程もバージョンアップを繰り返し、効率化によって所要時間も短縮されてきましたが、最新の行程では1枚2時間ほどとのこと。まだまだ作業効率向上の余地はあるとのことで、オーダーが増えた場合にも供給されやすくなるでしょう(とはいえ職人の手によるハンドメイドであることには変わりないですけどね)。

そしてHADESピックはチューヤオンラインで買えます!

HADES Teardrop 1.0mm ジルコニアセラミック ギターピック

HADES Teardrop 1.0mm ジルコニアセラミック ギターピック

楽器とは程遠い世界から生み出される未知のサウンド

日々量産、といってもたくさん作れるものではありません。

超精密機器を取扱う工場の一部のスペースでほぼ手作りされるHADESピック、ものすごい手間がかかっていることがおわかりいただけたかと思います。

まったく違うジャンルの会社から、特殊なピックが生み出される。これはそこに楽器が好きな人が存在しているからこそ、そしてそれをビジネスにしょうという情熱があるからこそ、だと強く感じた潜入取材でした。じっさいに試作の段階では多くのギタリストから意見をもらい仕様を詰めていったとのこと。

小さいアイテムではありますがプレイヤーが一番長い時間ふれるピックの重要性を大事にされている印象を受けました。

表現力を重要視されているギタリストのみなさんにふれてほしいピックであることには変わりなく、チューヤオンラインでも取り扱っています。ぜひ興味を持たれた方はチャレンジしてみていただきたいと思います。

ピーエムティーのみなさん、ご協力ありがとうございました!

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(執筆&編集:赤坂太一